クラーク博士像が指差す本当の意味とは?札幌2つの像の謎を徹底解明
北海道・札幌の観光シンボルとして全国的な知名度を誇る「クラーク博士像」。右手を斜め前方に高く掲げるあの凛々しいポーズは、誰もが一度は写真や映像で目にしたことがあるはずです。しかし、博士が掲げた右手がいったい何を指し示しているのか、その真の意図を知る人は決して多くありません。
さらに意外な事実として、札幌市内には全く姿の異なる2つのクラーク博士像が存在します。なぜ同じ街に2体の像が建立され、現在のような観光名所となったのか。2026年の最新観光事情も交えながら、知られざる歴史のドラマとポーズに隠された真相に迫ります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:右手を掲げるポーズは特定の方角ではなく「遥か彼方にある永遠の真理(高い理想)」を指し示している。
- 要点2:像は「北海道大学構内の胸像」と「さっぽろ羊ヶ丘展望台の全身立像」の2箇所にあり、それぞれ建立経緯が全く異なる。
- 要点3:羊ヶ丘展望台の立像は、北大への観光公害を防ぐ目的で1976年に誕生した歴史的背景を持つ。
【真相】右腕は何を指しているのか?ポーズに込められた「遥かなる真理」
クラーク博士像といえば、風になびくロングコートを身にまとい、右腕を真っ直ぐ斜め上に突き出す堂々たる立ち姿が代名詞です。旅行者の間では「北海道の広大な大地を指している」「未来の開拓地を示している」といった解釈が語られることも少なくありません。しかし、彫刻を手がけた制作者の意図はより崇高な精神世界にありました。
この立像「丘の上のクラーク」を制作した彫刻家・坂坦道(さか たんどう)氏は、右手のポーズについて「遥か彼方にある永遠の真理を指し示し、そこに向かって大志を抱け」というメッセージを込めたと証言しています。特定の方角や実在の場所を指しているのではなく、人間が目指すべき理想や真理を象徴的に表現したものです。
右手を単に挙げるだけでなく、力強く前方を指差すダイナミックな構図は、名言「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」の情熱をそのまま立体化した造形美として、半世紀近くにわたり多くの人々を惹きつけ続けています。
【場所の謎】なぜ2つある?「北大の胸像」と「羊ヶ丘の立像」が辿った数奇な運命
札幌観光でクラーク博士像を訪れる際、絶対に知っておくべきなのが「像がどこにあるのか」という場所の事実です。実は札幌市内には、北海道大学構内とさっぽろ羊ヶ丘展望台の2箇所にクラーク像が設置されています。
もともと歴史的に先に作られたのは、北海道大学(旧・札幌農学校)キャンパス内にある「クラーク博士胸像」でした。1926年(大正15年)、創立50周年を記念して建立された重厚な胸像です。しかし、太平洋戦争中の金属類回収令によって一度は供出され、終戦後の1948年に彫刻家・田島憲治氏の手によって再建されたという過酷な歴史を背負っています。
一方、私たちがよく知る右手を掲げた全身立像が羊ヶ丘展望台に誕生したのは1976年(昭和51年)のことです。当時、北海道大学の胸像を一目見ようとキャンパス内に観光バスが殺到し、学生の講義や研究活動に支障をきたす「観光公害」が深刻化しました。そこで、北大会校100周年を機に、広大な受け入れ態勢を持つ羊ヶ丘展望台へ新たなシンボル像を建立したという現実的な経緯が存在します。
【わずか8か月の軌跡】クラーク博士の経歴と「少年よ、大志を抱け」の誕生秘話
これほどまでに北海道で敬愛されるウィリアム・スミス・クラーク博士(William S. Clark)ですが、実際に日本に滞在した期間はわずか8か月間(252日間)に過ぎません。1876年(明治9年)、当時のマサチューセッツ農科大学学長を休職し、明治政府の招聘によって札幌農学校の初代教頭(実質的な最高責任者)として着任しました。
博士は高度な植物学や自然科学の指導にとどまらず、キリスト教精神に基づく全人教育を実践しました。校則で生徒を縛ることを嫌い、唯一の行動規範として「Be gentlemen(紳士たれ)」と訓示したエピソードは有名です。この濃密な教育方針が、後の新渡戸稲造や内村鑑三といった近代日本を代表する思想家・知識人を育てる礎となりました。
任期を終えて帰国する1877年4月16日、見送りに集まった教え子たちに対し、馬上で発した別れの言葉こそが「Boys, be ambitious.」です。現在の北広島市にあった島松駅逓所での別れ際の一言は、今なお時代を超えて日本人の心に響く不朽の名フレーズとなっています。
【見学ガイド】羊ヶ丘展望台と北海道大学のアクセス・入場料・回り方を比較
札幌観光でクラーク像を巡る際は、2つのスポットの性格の違いを把握しておくことがスムーズな旅の鍵となります。2026年現在の見学情報とアクセス方法を整理しました。
■ さっぽろ羊ヶ丘展望台(全身立像)
定番の記念撮影を楽しむなら迷わずこちらです。札幌市街地を一望できる絶景パノラマと、牧歌的な羊の放牧風景が広がります。 ・入場料:大人600円 / 小・中学生300円 ・アクセス:地下鉄東豊線「福住駅」より中央バス(福84)で約10分、「羊ヶ丘展望台」下車すぐ。札幌駅からの直行バスが季節運行される場合もあります。
■ 北海道大学キャンパス(胸像)
歴史あるアカデミズムの息吹を感じたい方におすすめのスポットです。緑豊かなポプラ並木や重厚な近代建築(古河講堂など)の近くに佇んでいます。 ・入場料:無料(キャンパス内散策自由) ・アクセス:JR「札幌駅」北口より徒歩約7〜10分、または地下鉄南北線「北12条駅」より徒歩約5分。 ※大学は教育・研究の場であるため、マナーを守った静かな見学が求められます。
【現地ルポ】札幌観光で絶対外せない!写真撮影のベストアングルと鑑賞マナー
羊ヶ丘展望台を訪れたなら、クラーク博士像と同じポーズで並んで撮影するのが定番の楽しみ方です。像の台座には「大志の誓い」を投函できるポストが設置されており、自らの夢や目標を用紙に記して保存する体験も人気を集めています。
写真を美しく撮るベストアングルは、像の左斜め下からのローアングルです。澄み渡る北海道の青空を背景に、博士の掲げた右手と札幌ドーム(プレミストドーム)をはじめとする市街地の遠景が絶妙なコントラストを生み出します。午前中の順光時間帯を狙うと、表情までくっきりと鮮明に記録に残せます。
一方、北海道大学の胸像は深い木立の中に静かに設置されています。四季折々の自然と美しく調和し、特に新緑の初夏や紅葉の秋は息をのむ風情があります。構内では観光客向けインフォメーションセンター「エルムの森」に立ち寄ることで、北大の歴史展示や公式グッズの購入も可能です。
【クラーク博士像】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:クラーク博士像の右手は北海道のどこか特定の方角を指しているのですか?
A1:特定の方角や地名を指しているわけではありません。彫刻家の坂坦道氏が「遥か彼方にある永遠の真理」を象徴するポーズとしてデザインしたものです。
Q2:羊ヶ丘展望台と北大のクラーク像はどちらが本物ですか?
A2:どちらも本物の公式モニュメントです。歴史的には北大の胸像(1926年初代建立・1948年再建)が古く、羊ヶ丘展望台の全身立像は1976年に観光拠点用として新設されました。
Q3:冬でも羊ヶ丘展望台のクラーク博士像は見学できますか?
A3:年中無休で営業しているため冬も見学可能です。一面の銀世界と雪をまとったクラーク博士像の幻想的な景色が楽しめますが、足元が滑りやすいため防寒具と冬靴の着用が必須です。
まとめ:歴史の背景を知ることで深まる札幌の旅
右手を掲げるおなじみの姿に込められた「遥かなる真理への大志」、そしてキャンパスの静けさを守るために生まれた羊ヶ丘展望台の立像。クラーク博士像の背景にある歴史を紐解くと、北海道開拓と教育の情熱が今も息づいていることが実感できます。
開放感あふれる羊ヶ丘展望台で記念の1枚を収めるもよし、緑薫る北海道大学で近代日本の青春譜に思いを馳せるもよし。次に札幌を訪れる際は、ぜひ2つの像が歩んできたストーリーを感じながら、その威風堂々たる姿を眺めてみてください。 (出典: クラーク 博士 像(Yahoo!ニュース))